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労災保険の適用事業
労災適用は本社、支店が場所的に独立していればそれぞれ個別の適用事業として扱われますが、例外として複数の事業を一括して保険関係が成立する場合があります。言葉としてはこれだけですが、実務上はよく出くわす内容です。では早速見ていきましょう。
1.有期事業の一括
適用事業は継続事業と有期事業に区分されます。一般的な会社、商店、工場など継続して事業が行われている物を継続事業と言います。建設の事業のようにその現場現場で期間が定められて行われる事業を有期事業と言います。有期事業ではその事業の開始時に保険関係が成立しその事業終了を持って保険関係も終了するのですが、その都度保険関係の成立・消滅の事務手続きを行うと煩雑になってしまうので、一定の要件の有期事業は一括することによって継続事業と同じように取り扱うという物が有期事業の一括です。
有期事業一括の要件
・建設事業において、消費税相当額を除くひとつの工事請負金額が1億8千万円未満であり、なおかつ概算保険料額が160万円未満で、隣接県及び厚生労働大臣が指定した都道府県の区域で行う工事。ただし、平成31年4月1日以降に開始する一括有期事業ついては、地域要件が廃止されており、遠隔地で行われるものも含めて一括ができます。
・立木の伐採事業において、素材の見込生産量が1,000立方メートル未満であり、なおかつ概算保険料額が160万円未満である事業
一括有期事業の加入者
一括有期事業の保険加入者は、施主より直接工事を受注した元請負人です。下請負人や孫請負人は保険加入する必要はありません。
2.請負事業の一括
有期事業は一般的には請負関係の元に行われますが、元請け事業者のもとに一次下請け、2次下請けというように複数の事業場の労働者が関わっていることが普通です。このような請負関係の元で行われている建設の事業については元請け事業の事業主を事業主とした保険関係と見なします。これを請け負い事業の一括といいます。
この保険関係では、下請けの事業者の労働者も元請け事業者の労働者と見なされます。よって、下請けの会社は保険関係の手続きは必要ありません。
以上2つの一括は法律上当然におこなわれますので、特別に申請等は必要ありません。
3.継続事業の一括
継続事業では、本社、支店とのそれぞれ個別の適用事業で、年度更新手続きもそれぞれ別個に行う必要がありますが事業主が同一で適用される業種が同じであるならば、給与関係事務、社会保険関係事務を本社で行っているような場合は認可を受けることによって複数の労災関係を一つにまとめて申告納付することができます。
この一括の認可を受けても労災事故があって保険請求をする場合にはそれぞれの所在地を管轄する監督署へ提出する必要があります。