労災保険

労災保険の適用単位(事業の一括の話)

労災保険の適用事業

労災適用は本社、支店が場所的に独立していればそれぞれ個別の適用事業として扱われますが、例外として複数の事業を一括して保険関係が成立する場合があります。言葉としてはこれだけですが、実務上はよく出くわす内容です。では早速見ていきましょう。

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労働保険の年度更新(2022年版)

今年も、労働保険料の年度更新の季節が近づいてきました。

令和4年度の年度更新は、6月1日(水)~7月11日(月)となります。
令和4年度は、10月1日に雇用保険料率が引上げられることにより、今年に限り、例年と申告書への記載方法が変更されることになっています。

厚生労働省HPより
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html

なお、書き方の詳細パンフレットへのリンクもこのページに掲載されています。(用紙と一緒に送られてきますけどね。)

※労働保険料=「労災保険料+雇用保険料」の総称

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労災保険

労災保険とは

労災保険は労働基準法の「災害補償」を担保する目的で定められた「労働者災害補償保険法」に基づいた制度です。労働基準法における災害補償とは「労働者を雇用し、指揮命令下において仕事をさせる上で労働者が負傷し、疾病にかかった場合は使用者は自らの費用で必要な保証を行わなければならない」というものです。使用者はその過失の有無にかかわらずに無過失賠償責任を負わなければなりません。ところが、使用者によっては必要な保証を行えない場合もあります。そのため、労災保険制度が創設され「労災保険による給付が行われる場合には使用者が行うべき災害補償は免除される」ことになっています。余談ですが、このように使用者が負うべき賠償責任を担保するので労災保険料は全額事業主負担となっています。

労災保険の加入者

労災保険は労働者を一人でも使用する事業場は加入しなけばならないことになっています。また、事業主及びその家族は加入できません。(ともに一部例外あり)労働者であれば、パート社員やアルバイトであろうと、試用期間中であろうと被保険者です。保険給付が受けられます。

例外1 暫定任意適用事業(労災保険が強制的に適用されない事業)

農業(畜産及び養蚕の事業を含む)の場合
常時5人未満の労働者を使用する個人経営の事業場で危険又は有害な作業を行わない事業所。

林業の場合
労働者を常時には使用せず、かつ、1年以内の期間において使用する労働者が延べ300人未満の個人経営の事業所。

水産業の場合
常時5人未満の労働者を使用する個人経営の事業で、かつ、5トン未満の漁船により操業するもの又は5トン以上の漁船で河川、湖沼、特定の湾において主として操業する事業。

ただし暫定任意適用事業であっても次の場合は適用事業となります。

・事業主が任意加入の申請をして認可があった場合。
・その事業所の労働者の過半数が加入を希望して認可があった場合。
・労災保険の特別加入制度により特別加入した場合。

例外2 特別加入

中小企業の事業主は、従業員と同じような現場作業を行ったりすることもあります。
そのため、業種ごとに一定の規模以下の事業主や代表者が厚生労働大臣に認可された労働保険事務組合の組合員になることによって、労災保険制度に特別に加入できるようになりました。

加入要件1 事業規模
事業の種類 使用労働者数
金融業、保険業、不動産業、小売業 常時50人以下
卸売業、サービス業 常時100人以下
その他の業種 常時300人以下
加入要件2

労働保険事務組合に加入すること

健康保険との対比

健康保険は労災保険の業務災害以外の疾病、負傷、死亡等に対して保険給付を行いますが、労災保険は業務上のそれらに対して保険給付を行います。健康保険は保険料が折半ですが、労災保険は事業主の災害保証責任を担保するものなので全額事業主負担です。

2.保険関係の成立と適用事業

労災保険は労働者を使用する事業すべてが適用事業となります。裏かえせば、労働者を一人も使用しなければ適用事業とはならないと言うことです。また、国の直営事業や官公署の事業は労災保険は適用になりません。一部の事業は上記の暫定任意適用事業となります。

適用事業の労災保険関係は労働者を使用して事業を開始した日に成立します。たとえば、昨日まで社長一人で事業を行っていた会社でアルバイト一人雇ったらその日から労災保険の保険関係が成立すると言うことです。届け出た日ではないので注意しましょう。

保険関係は労働者を雇い入れた日に自動的に成立しますから、事業主が監督署に届け出るまでの間に労働者が業務上けがをしてしまった場合でも労災保険の給付は行われます。「まだ、届け出してないから自分の健康保険で治療してね。」は誤りです。

事業主からの費用徴収

このように、まだ届け出を行っていないうちに労災事故が発生してしまった場合、事業主から保険給付に要した費用が徴収されます。
①監督署から保険関係成立届けの提出について指導を受けていたにもかかわらず、提出していなかった場合「故意」に提出していないものと認定され、保険給付にかかる費用の100%が事業主から徴収されます。
②監督署から指導を受けてはいないものの、保険関係成立から1年を経過しても届け出でをしていなかった場合「重大な過失」と認定され保険給付に要した費用の40%が事業主から徴収されます。

労働保険・社会保険の適用と被保険者

労働保険とか社会保険ってどういう保険

労働保険とは

労働保険とは、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を総称したものです。両保険は保険料の徴収は一体となって行われていますが、保険給付は別々のものとして行われています。所管する行政庁も労災保険は労働基準監督署、雇用保険は公共職業安定所(ハローワーク)が行っています。

労災保険は、労働者が仕事上や通勤途中にケガをしたり病気になったり、死亡した場合に保険給付を行います。雇用保険は失業した場合や雇用の継続が困難になった場合に被保険者(労働者)に対して保険給付を行い、また、雇用を守るために各種助成金を事業主に対して支給したりします。

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業務上ケガをした場合

療養(補償)給付とは

療養(補償)給付は、業務災害または通勤災害によりケガをしたり病気にかかった場合、病院等で治療が必要になったときの給付です。療養(補償)給付は「療養の給付」として、治療を自己負担なしに受けるのが原則です。労災病院や労災指定病院等に療養の給付請求書を提出すれば自己負担なしに治療が受けられます。あなたが治療を受けた労災指定病院等は都道府県労働局に対して診療費や薬剤費を請求します。

療養の給付の範囲

療養(補償)給付となる療養の範囲は次のようなものです。

  1. 診察
  2. 薬剤またはその治療材料費
  3. 処置、手術その他の治療
  4. 居宅における療養上の管理およびその療養に伴う管理・看護
  5. 病院または診療所への入院およびその療養に伴う世話その他の看護
  6. 移送

請求書の種類

業務中の災害の場合は「療養補償給付たる療養の給付請求書」(様式5)

通勤途中の災害の場合は「療養給付たる療養の給付請求書」(様式16の3)

用紙はお近くの労働基準監督署で分けてもらえますが、下記のリンク先からダウンロードでも入手できます。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/03.html

いろいろな様式がありますので、間違えないようにダウンロードしてください。

労災の請求書が無い場合は労災で治療を受けられないのか

緊急の場合など労災の請求書を持参できないのは良くあることです。その場合は口頭で「労災で治療を受けたい請求書は後日持ってきます。」と言うことを伝えてください。病院によって対応はまちまちですが、(一時的に立て替え払いをしなくてはならない等)後日請求書を持参すれば返金されます。会社の人に同行してもらうなどすればなおさら良いと思います。

労災指定病院以外の病院にかかった場合

出張先にケガをしたときに近くに労災指定病院が無かった場合など、労災指定病院に書かれないときがあります。この場合はいったん費用を負担した上で請求書の裏面を病院で記入してもらい、監督署に直接提出します。

会社近くの指定病院から自宅近くの病院へ転医する場合

会社内で負傷し当初会社の近くの病院にかかったが、当面休業することになり自宅近くの医院へ変わりたいときには「療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届け」(様式6号)または「療養給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届け」(様式16号の4)を転院先の指定病院等へ提出します。

柔道整復師にかかった場合

柔道整復師には施術料金を直接労働基準監督署に対して請求する柔道整復師とそうで無い整復師があります。前者の場合は請求書は柔道整復師に後者の場合は労働者が直接監督署に請求書を提出します。

鍼・灸の施術を受けた場合

針灸の施術、マッサージについては医師が必要と認めた場合のみ支給対象となります。請求書に所定の診断書領収書などを添付して直接監督署に提出します。自分で勝手に施術を受けても労災保険は適用されません。

訪問看護事業者の利用

重度の脊髄・頸随損傷患者やじん肺患者等の病状が安定した状態にあり、かつ居宅にて保健師、看護師、准看護師理学療法士および作業療法士による療養上の世話および診療の補助が必要な労働者が支給対象となります。領収書を添付して監督署に提出します。

移送費・通院費

災害現場から病院等に行く場合自宅から通院する場合などでも移送費・通院費が支給される場合があります。支給要件は監督署にご確認ください。

 

中小事業主のための労災保険(第1種特別加入)

中小事業主労災保険(第1種特別加入)

特別加入の要件(中小事業主)

①その事業について、労災保険に係る保険関係が成立していること。
②労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること。
③中小事業主及びその事業の従事者を包括して特別加入すること。
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