36協定は必ず提出しましょう

働き方改革の中心は長時間労働の抑制

今後の労務監査の方針

監督署では監督指導を行う人員を増員し、次のような是正に向けた取り組みを計画しています。

・時間外及び休日労働協定(36 協定)未届事業場に対し、民間事業者を活用し、自主点検を実施する。

・都道府県労働局及び労働基準監督署に配置している時間外及び休日労働協定点検指導員等を増員する。

・労働基準監督官 OB を活用すること等により、労働基準監督機関の監督指導体制の強化を図る。

働き方改革の中で、36協定の重要性が高まっています。いま国会で審議されている働き方改革関連法案の中心となっている労働時間の上限規制は結局は36協定の規制でもあります。しかし、現実には労務管理の基本中の基本である36協定の締結・届出さえもできていない企業が少なからずあるというのが実情です。しかし、その指導を徹底するだけの十分な体制が労働基準監督署にないというのが実態であり、それを改善するため、今年度は36協定未届事業場に対する相談指導事業が民間に委託されることとなりました。神奈川県では社会保険労務士会がその任に当たることになりました。

36協定未届事業場に対する相談指導事業の内容

今回の事業は、労働局労働基準部監督課が作成する事業場リストの事業場に対して、以下の事項が行われます。

労働条件自主点検表及び自主点検結果報告書の送付と自主点検結果報告書の回収

返信期限を過ぎ、1週間以上経過してもなお回収されていない事業場については、電話および書面による督促が行われる。
・自主点検の督促
自主点検結果報告書の回収率を上げるために、必要な措置を講じること。なお、以下については必ず実施すること。
返信期限を過ぎ、1週間以上経過してもなお回収されていない事業場については、電話による督促を行うものとする。
電話による督促を行った後さらに1週間以上経過してもなお回収されていない事業場については、文書送付による督促を行うものとする。
上記督促を行った事業場については、その経過を記録すること。
・回収した自主点検結果報告書の分析等
回収した自主点検結果報告書は、項目ごとにエクセルにより事業場ごとに集計・データ化し、労働基準法等の適合有無について分析を行うこと。また、自主点検結果報告書の返送のない事業場や宛所なく戻ってきた事業場についてもデータ化して管理すること。
なお、自主点検結果報告書の内容と作成したデータに齟齬(※3)がないかを2者以上(うち1名は統括責任者)で確認すること。
(※3)齟齬の例としては、事業場リストにおける自主点検結果報告書の返送の有無の不一致、事業場名等事業場情報の不一致、自主点検結果報告書の記載とエクセルデータの各項目に入力した内容の不一致等が考えられる。

回収した自主点検結果報告書の分析

回収した自主点検結果報告書は、項目ごとにエクセルにより事業場ごとに集計・データ化し、労働基準法等の適合有無について分析が行われる。また、返送のない事業場等もデータ化して管理される。同時に集計されたデータのうち、労働局が指定する項目について労働基準法等に適合するか否かの分析を行うとともに、労働基準法等に適合しないと認められる事業場のリストが作成される。

集団的または個別的な相談指導の必要な事業場の選別と相談指導の実施

自主点検結果報告書において相談指導を希望する事業場、自主点検結果報告書の提出がなかった事業場及びにより分析された結果、労働基準法等に適合しない事業場について、集団的な相談指導が実施される。この集団的な相談指導に参加しなかった事業場については、電話等で連絡をとり同意が得られた場合には、個別訪問による相談指導が実施される。
・集団的な相談指導での説明項目
具体的な事例を交えながら、以下の項目について、分かりやすく説明すること。また、個別訪問による相談指導を行っていることを周知し、希望する事業場があれば把握すること。
・労働条件の明示(労働基準法第15 条関係)
・労働時間、休憩、休日(労働基準法第32 条、第34 条、第35 条関係)
・労働時間の適正把握(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン関係)
・時間外・休日労働に関する協定(労働基準法第36 条関係)
・賃金の支払い(労働基準法第24 条、第36 条、最低賃金関係)
・就業規則(労働基準法第89 条関係)
・業務改善助成金の周知

1回あたりの相談指導の時間は2時間程度とすること。

集団的な相談指導に参加しなかった事業場(以下「不参加事業場」という。)について、電話等で連絡をとり同意が得られた場合には、個別訪問による相談指導を実施する。

改めて、36協定の締結届出を徹底するとともに、労働時間の最適化を進めましょう。