安全衛生

統括安全衛生管理者を選任

統括安全衛生管理者

労働安全衛生法第10条では、「総括安全衛生管理者」について定められています。それによりますと、業種によって個別に定められた一定の規模の事業場では、工場長、事業部長など事業を実質的に統括管理する者を「総括安全衛生管理者」として選任し、その者に安全管理者、衛生管理者を指揮させ、労働者の危険または健康障害を防止するための措置等の安全衛生に関する業務を統括管理させるとされています。

統括安全衛生管理者の選任

次に掲げる表に該当する事業場では「総括安全衛生管理者」を選任して、所轄監督署に届け出る必要があります。

  1. 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業・・・・・・・・100人以上
  2. 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業・・・・・300人以上
  3. その他の業種・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,000人以上

※常時使用する労働者数とは、正社員のほかにパートタイマー、アルバイト、派遣労働者等を含め常態として使用する労働者を言います(以下、すべての項目において同じ)。

※統括安全衛生管理者はその選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告する必要があります。

選任される者の資格要件

「総括安全衛生管理者」はその事業場において、事業の実施を実質的に統括管理する権限及び責任を有する者(工場長、作業所長等名称を問わず実質的に統括管理する権限及び責任を有する者)を選任する必要があります。

総括安全衛生管理者の職務

安全管理者、衛生管理者などを指揮するとともに、次の業務を統括管理することとされています。
①労働者の危険または健康障害を防止するための措置に関すること
②労働者の安全または衛生のための教育の実施に関すること
③健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
( その他健康の保持増進のための措置とは、健康診断結果に基づく事後措置、作業環境の維持管理、作業の管理及び健康教育、健康相談など)
④労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
⑤安全衛生に関する方針の表明に関すること
⑥危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること
⑦安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
⑧その他の労働災害を防止するため必要な業務

 

本記事は労働安全衛生法第10条(労働安全衛生法施行令2条等)を参考にしています。

安全衛生管理体制

安全衛生管理体制

労働安全衛生法では、事業場を一つの適用単位として、本社、工場、支店、事務所、営業所、店舗等
の事業場の業種、規模等に応じて、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医、安全衛
生推進者又は衛生推進者の選任を義務付けています。
「総括安全衛生管理者」「安全管理者」「衛生管理者」及び「産業医」の選任は、その選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、所定の様式に必要書類を添付して遅滞なく所轄の労働基準監督
署長へ報告する必要があります。
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安全管理者を選任

安全管理者

労働安全衛生法第11条では、一定の業種及び規模の事業場ごとに「安全管理者」を選任し、その者に安全衛生業務のうち、安全に関する技術的事項を管理させることとなっています。
安全管理者の選任は事業の経営担当者以外の者のうちより選任するを原則とするも必ずしも工場長、技術者等の形式上の名称にかかわることなく、実質上原則に合致する者であれば、規則第3条の資格を有する限り選任して差し支えないこと。
小規模事業場等にあっては、経営担当者自らが安全管理を行う能力があり、その者が安全管理者となることにより安全管理者の実効があると思料される場合には、その者を安全管理者に選任することをさまたげるものではないこと。(昭23.5.11基発第737号、昭41.1.22基発第46号)

まあ少しお堅い文章ですが、特に後段「小規模事業場にあっては・・・・・」の部分は小規模企業においては経営者が安全管理者となることがもっとも適当である場合は経営者自身が安全管理者となってもかまわないと言うことです。

安全管理者の選任

安全管理者を選任しなければならない事業場は、次のとおりです。

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業・・・・・50人以上

また、次に該当する事業にあっては、安全管理者のうち1人を専任の安全管理者とすることとなっています。
1.建設業、有機化学工業製品製造業、石油製品製造業・・・・300人以上
2.無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業・・・500人以上
3.紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業・・・・・1,000人以上
4.上記以外の業種(過去3年間の労働災害による休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える事業場に限る)・・・・2,000人以上

選任すべき者の資格要件

①下表の年数以上産業安全(注1)の実務に従事した経験を有し、かつ「安全管理者選任時研修」(注2)を修了した者
1.・・・理科系統 大学卒2年・高等専門学校卒4年・高等学校卒その他7年
2.・・・理科系統以外 大学卒4年・高等専門学校卒6年・高等学校卒その他7年

注1)「 産業安全の実務」とは、必ずしも安全関係専門の業務に限定する趣旨ではなく、生産ラインにおける管理業務等も含める
ことができます。
注2)労働安全衛生規則第5条第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める研修(平成18.2.16 厚生労働省告示第24号)
②労働安全コンサルタント
③平成18年10月1日時点において安全管理者として経験が2年以上ある者(経過措置)

安全管理者の職務

(1)安全管理者は、主に次の業務を行うこととなっています。
①建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止措置
(設備新設時、新生産方式採用時における安全面からの検討を含む。)
②安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検及び整備
③作業の安全についての教育及び訓練
④発生した災害原因の調査及び対策の検討
⑤消防及び避難の訓練
⑥作業主任者その他安全に関する補助者の監督
⑦安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録
⑧その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所においておこなわれる場合における安全に関し、必要な措置(昭47.9.18基発第601号の1)
など。
(2)巡視
安全管理者は、作業場等を巡視し、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するため必要な措置を講じなければなりません。

衛生管理者の選任

1 衛生管理者とは

労働安全衛生法第12条では、一定の規模の事業場ごとに「衛生管理者」を選任し、その者に安全衛生業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理させることとなっています。

2 衛生管理者の選任

常時使用する労働者が50人以上のすべての事業場で選任することとなっています。
ただし、事業場の規模ごとに選任しなければならない衛生管理者の数は、次のとおりです。

業種 従業員数 衛生管理者
の人数
衛生管理者のうち1人を専任とすることが必要な事業場 衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許所持者から
選任することが必要な事業場
すべての業種 50人未満 衛生管理者の選任義務なし
50人〜200人 1人 該当なし
201人〜 500人 2人
501人〜1,000人 3人 該当※1の①参照 ※2参照
1,001人〜2,000人 4人 該当
※1の②参照
2,001人〜3,000人 5人
3,001人以上 6人

※1 衛生管理者のうち少なくとも1人を専任とすることが必要な事業場

(「専任」とは、専ら衛生管理者の職務を行う者)
①常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条に掲げる有害業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの
②常時1,000人を超える労働者を使用するすべての事業場

※2 衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許所持者から選任することが必要な事業場

常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1,3,4,5,9号に掲げる有害業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの

【労働基準法施行規則】第18条

一 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
二 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
三 ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
四 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
五 異常気圧下における業務
六 さく岩機、鋲びょう打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務
七 重量物の取扱い等重激な業務
八 ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
九 鉛、水銀、クロム、砒ひ 素、黄りん、弗ふっ素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務
十 前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務

3 選任すべき者の資格要件

事業場の業種に応じて選任しなければならない資格者等は、次のとおりです。
※免許を受けることができる者
:衛生管理者免許試験(第一種・第二種)に合格した者
:保健師、薬剤師など

4 衛生管理者の職務

(1)衛生管理者は、主に次の業務を行うこととなっています。
①健康に異常のある者の発見及び処置
②作業環境の衛生上の調査
③作業条件、施設等の衛生上の改善
④労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
⑤衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項
⑥労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
⑦衛生日誌の記載等職務上の記録の整備
など。
(2)衛生工学衛生管理者の管理すべき事項
①作業環境の測定およびその評価
②作業環境内の労働衛生関係施設の設計、施工、点検、改善等
③作業方法の衛生工学的改善
④その他職務上の記録の整備等
(3)定期巡視
少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。
労働安全衛生法第12条(労働安全衛生法施行令第4条、労働安全衛生規則第7条等)

 

安全衛生推進者等の選任

安全衛生推進者等

労働安全衛生法第12条の2では、一定の規模および業種の事業場ごとに安全衛生推進者又は衛生推進者(以下、「安全衛生推進者等」という。)を選任し、その者に安全衛生に係る技術的事項を管理させることとなっています。

安全衛生推進者等の選任

安全衛生推進者等を選任しなければならない事業場の規模と業種
常時使用する労働者が10人以上50人未満の事業場(50人以上の場合は安全管理者等を選任する)

安全衛生推進者を選任すべき業種
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業

衛生推進者を選任するべき業種
上記以外の業種

選任すべき者の資格要件

労働安全衛生規則第12条の3及び安全衛生推進者等の選任に関する基準(昭和63年9月5日労働省告示第80号)等で次のように定められています。

(1)安全衛生推進者養成講習・衛生推進者養成講習を修了した者
(2)大学又は高専卒業後に1年以上安全衛生(衛生推進者にあっては、衛生の実務。)の実務に従事している者
(3)高等学校又は中等教育学校卒業後に3年以上安全衛生(※衛生推進者にあっては、衛生の実務。)の実務に従事している者
(4)5年以上安全衛生(※衛生推進者にあっては、衛生の実務。)の実務に従事している者
※上記(2)~(4)の要件を満たしている方にも養成講習等の受講をお勧めします。
(5)安全管理者及び衛生管理者・労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントの資格を有する者

安全衛生推進者等の職務

(1)安全衛生推進者等については、次の業務を行うこととなっています。
※衛生推進者にあっては、衛生に係る業務に限ります。
①施設、設備等(安全装置、労働衛生関係設備、保護具等を含む。)の点検及び使用状況の確認並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること
②作業環境の点検(作業環境測定を含む。)及び作業方法の点検並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること
③健康診断及び健康の保持増進のための措置に関すること
④安全衛生教育に関すること
⑤異常な事態における応急措置に関すること
⑥労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
⑦安全衛生情報の収集及び労働災害、疾病・休業等の統計の作成に関すること
⑧関係行政機関に対する安全衛生に係る各種報告、届出等に関すること
(2)安全衛生推進者等を選任した時は、当該安全衛生推進者等の氏名を事業場の見やすい個所に掲示する等により関係労働者に周知を行うこととなっています。

関係労働者の意見の聴取

労働安全衛生規則第23条の2
委員会を設けている事業者以外の事業は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。
○関係労働者
関係労働者とは、当該事業における個々の衛生問題に関係のある労働者をいうこと。
(昭23.1.16基発第83号、昭33.2.13基発第90号)
○関係労働者
関係労働者とは、個々に起きる安全問題について当該作業に関係ある趣旨であること。
(昭35.5.11基発第737号)
○機会を設ける
「関係労働者の意見を聴くための機会を設ける」とは、安全衛生の委員会、労働者の常会、職場懇談会等労働者の意見を聴くための措置を講じることをいうものであること。
(昭47.9.18基発第601号の1)
労働安全衛生法第12条の2(労働安全衛生規則第12条の3等)

産業医の選任

産業医とは

労働安全衛生法第13条では、一定の規模の事業場について、一定の医師のうちから「産業医」を選任し、事業者の直接の指揮監督の下で専門家として労働者の健康管理等に当たらせることとなっています。

産業医の選任

産業医は常時使用する労働者が50人以上のすべての事業場で選任することとなっています。
ただし、常時3,000人を超える労働者を使用する事業場では、2人以上の産業医を選任することとなっています。
なお、次に該当する事業場にあっては、専属の産業医を選任することとなっています。
①常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
②一定の有害な業務※に常時500人以上の労働者を従事させる事業場
※一定の有害業務とは、労働安全衛生規則第13条第1項2号イ~カに掲げる業務です。
労働安全衛生規則第13条第1項第2号追加改正(平成29年4月1日施行)
次に掲げる者(イ及びロにあっては、事業場の運営について利害関係を有しない者を除く。)以外の者のうちから選任すること。
イ 事業者が法人の場合にあっては当該法人の代表者
ロ 事業者が法人でない場合にあっては事業を営む個人
ハ 事業場においてその事業の実施を統括管理する者

選任すべき者の資格要件

医師であって、次のいずれかの要件を備えたもの
①厚生労働大臣の定める研修(日本医師会の産業医学基礎研修、産業医科大学の産業医学基本講座)の修了者
②労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生であるもの。
③大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授または常勤講師の経験のある者
④平成10年9月末時点において、産業医としての労働者の健康管理等を行った経験が3年以上ある者(経過措置)

健康診断

年一回の健康診断は事業主の義務です

労働者の健康診断は事業主の義務

事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるとき、および、1年以内ごとに1回、定期に医師による健康診断を行う義務があります。前者を雇い入れ時健康診断、後者を定期健康診断といいます。

常時使用する労働者とは

パート労働者等の短時間労働者が「常時使用する労働者」に該当するか否かについては、平成19年10月1日基発第1001016号通達で示されています。

その中で、一般健康診断を実施すべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の(1)と(2)のいずれの要件をも満たす場合としています。

(1)期間の定めのない契約により使用される者であること。なお、期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。(なお、特定業務従事者健診<安衛則第45条の健康診断>の対象となる者の雇入時健康診断については、6カ月以上使用されることが予定され、又は更新により6カ月以上使用されている者)

(2)その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること。

上記(1)と(2)のどちらも満たす場合、常時使用する労働者となります。

なお、上記の(2)に該当しない場合であっても、上記の(1)に該当し、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施するのが望ましいとされています。なお、労働者派遣事業法に基づく派遣労働者についての一般健康診断は、労働者の派遣元の事業場で実施し、有害業務従事労働者についての健康診断は派遣先の事業場で実施することとなります。

特定業務従事者の健康診断

特に危険な労働に従事する労働者は6カ月に1回健康診断を行う必要があります。
以下の業務が列挙されています。

※1: 労働安全規則第13条第1項第2号に掲げる業務
イ多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
ニ土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ異常気圧下における業務
ヘさく岩機、鋲打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務
ト重量物の取扱い等重激な業務
チボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ坑内における業務
ヌ深夜業を含む業務
ル水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ病原体によつて汚染のおそれが著しい業務
カその他厚生労働大臣が定める業務

労働者の義務

労働者も会社が行う健康診断を受ける必要があります。ただし、例えば主治医がいてその主治医に健康診断をしてもらう場合のように、会社の指定する医師以外の医師の健康診断を受ける事も可能ですが、その場合には労働者はその結果を書面にしたものを会社に提出しなければなりません。

健康診断実施後に会社が行うべきこと

健康診断後に会社は、次の6つのことを行う必要があります。

健康診断個人票の作成

会社は健康診断の結果に基づき、健康診断個人票を作成しなければなりません。健康診断個人票の保存義務は5年間です。( 安衛法第66条の3)

厚生労働省にダウンロードできる書式があります。

労働安全衛生規則関係様式

定期健康診断結果報告書の提出

常時50人以上の労働者がいる事業場では、定期健康診断を行った場合は、遅滞なく、所轄の労働基準監督署に定期健康診断結果報告書を提出しなければなりません。( 安衛法第100条)

こちらも厚生労働省にダウンロードできる書式があります。

各種健康診断結果報告書

定期健康診断結果報告書を出す場合、産業医以外のところで健康診断を受けた場合も、結果報告書に必要な記名押印は産業医のものである必要があります。

医師等からの意見聴取

健康診断の結果に基づき、健康診断の項目に異常の所見のある労働者について、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師(歯科医師による健康診断については歯科医師)の意見を聞かなければなりません。( 安衛法第66条の4)

健康診断の結果の労働者への通知

健康診断の結果は労働者へ通知しなければなりません。( 安衛法第66条の6)

健康診断実施後の措置

事業主は医師又は歯科医師の意見を勘案し必要があると認めるときは、作業の転換、労働時間の短縮等の適切な措置を講じなければなりません。(安衛法第66条の5 )

健康診断の結果に基づく保健指導

健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。( 安衛法第66条の7)

産業医のいない規模の事業所

厚生労働省の管轄の独立行政法人に労働者健康安全機構というものがあり「地域産業保健センター」を設けています。法的に産業医の選任が必要の無い「常時労働者数50人未満」事業所では地域産業保健センターを利用できるので、そちらを活用しましょう。

この「地域産業保健センター」以下のサービスを無料で提供しています。

  • 労働者の健康管理(メンタルヘルスを含む)に係る相談
  • 健康診断の結果についての医師からの意見聴取
  • 長時間労働者に対する面接指導
  • 小規模事業場への個別訪問による産業保健指導の実施

独立行政法人労働者健康安全機構 神奈川産業保健総合支援センター

地域産業保健センター一覧(神奈川県)