会社外での営業の際の労働時間の把握方法
事業場外みなし労働時間制
会社外での営業の際の労働時間は使用者が直接管理することができません。労働者の自主的申告や事業場外みなし労働時間制を利用するのが一般的でした。
私が社会人になった頃は携帯電話というものがありませんでしたから、朝「行ってきます。」と会社を出てしまえば、何をやっているかはわかりません。夜8時になって帰社すればその間は労働していたことになります。それでは会社の負担は際限なく上がってしまいます。そこで、事業所外みなし労働時間という制度が当時考え出されました。その当時は合理的であったと思います事業場外みなし労働時間制とは、外回りなどで会社内にいない時間の労働について「◯時間」労働したものとみなす制度です。
例えば、前述のように1日中外回りをしている営業職の場合、事業場外のみなし労働時間を「8時間」とみなした場合、実際の労働時間が7時間でも9時間でも8時間働いたとみなし、賃金が支払われます。
しかし、この制度はあくまで労働者が事業場内にいないなどのため、使用者が具体的な指揮監督ができず、労働時間を算定することが困難な場合のための制度であって、使用者が労働時間を把握できる場合はその把握した時間により賃金が支払われます。
時は流れて、携帯電話などの通信機器の発達により、会社が外に出ている労働者の行動を把握することや指揮監督すること十分可能になっています。故に、この「事業所外みなし労働時間」を適用することは難しいのでは無いかと私は思っています。
まとめ
使用者は、労働時間の把握義務を負っていますので、何らかの方法で労働時間を管理し、時間外労働の時間も含めて把握する必要があります。労働基準法上の労働時間の意味について、最高裁は、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」としています。この「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」とは、現実に労働力を提供している時間、だけでなく実際に使用者の黙示の指示によって、その業務に従事する時間も含むものと考えられています。(「実労働時間」といいます。)
通信機器が発達した現代では、労働時間の把握は容易になってきていますのでこのみなし労働時間制を適用するのはかなり慎重に判断する必要があると思います。