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有給休暇を5日消化させるのは事業主の義務になりました。

きゅきゅうきゅうかのうち5日は事業主が責任を持って消化させなければならなくなりました。

働き方改革関連法により、2019年4月からすべての企業において、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、使用者は時季を指定して年5日間の年次有給休暇の取得させることが義務化されました。今までは年次有給休暇を取るか取らないかは労働者に任せている企業が多く、周りに気兼ねして有給を取りたくても取れない労働者も多くいました。今回の改正では、年次有給休暇を「必ず取らなくてはならない」ものとしています。結果、制度の趣旨に沿ったものとなることが期待されています。

有給休暇とは

有給休暇とは、労働者が給与を得たままで仕事を休むことができる法律上の制度です。これは、「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現にも資するという趣旨」の制度と説明されています(平成21年5月29日基発0529001号)。

年次有給休暇の発生用件は、以下の2項目になります。

  1. 雇用された日から6カ月継続して雇われている。
  2. 全労働日の8割以上を出勤している

これらを満たしている場合、勤続年数に応じて有給休暇が付与されます。また、対象者は正規雇用だけではなく、非正規雇用(パート・アルバイト・派遣など)や、労働時間規制が除外される「管理監督者」「高度プロフェッショナル制度適用者」も含まれます。ただし、パートタイムで働いているなど、所定労働日数が少ない場合は、年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与されます。

(※)高度プロフェッショナル制度とは、対象業務や年収などの一定要件をクリアすれば、残業代の支払いが不要となる制度のこと。

有給休暇の付与日数

通常の労働者の付与日数

有給休暇は、6ヶ月間勤務しており、かつ、8割以上出勤した労働者に10日与えられます。さらに、1年6カ月間勤務した場合、1日増えて11日の休暇、2年6カ月で12日、3年6カ月で2日増えて14日、4年6カ月で16日、5年6カ月で18日、6年6カ月以上で20日と増えていきます。

週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数

週の所定労働日数が4日以下・週30時間未満のパートタイム労働者または、年216日未満のパートタイム労働者(アルバイト、嘱託なども含む)の有給休暇の日数は上記より少ない日数が別に定められています。このことを、「比例付与」と言います。
<該当者>
1.週の所定労働時間が30時間未満かつ週の所定労働日数が4日以下
2.週の所定労働時間が30時間未満かつ年間の所定労働日数が216日以下(週の日数把握が難しい場合に適用)

有給休暇の付与日数について詳しく知りたい方はこちらをクリック

5日以上の有給休暇取得義務(今改正で新規制定されました)

平成31年(2019年)4月1日から、年10日以上の有給休暇を得ている労働者に対して(大企業・中小企業問わず)会社は、最低5日の有給休暇を取得させることが労働基準法上の義務となりました。今までは、労働者が自ら申し出る事により有給休暇を取得してきましたが、改正後は、年次有給休暇が10日以上付与される労働者を対象に、使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に取得時季を指定して5日間の年次有給休暇を取得させなければいけないことになりました。時季指定については、労働者の希望を聞いて、可能な限り労働者の希望に沿った取得時季になるように努めなければならないとされています。ただし、労働者が自ら5日以上取得できる場合は、会社が時季指定しなくても良いとされています。

「年次有給休暇管理簿」の作成と3年間の保存が義務化された

今回の改正に伴い、使用者は「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存しなければいけないことになりました。これは、年次有給休暇の年5日間の消化が義務になり、使用者は各労働者の有給取得状況を把握・管理し、5日未満の場合は取得を促す必要が出てきたためです。

年次有給休暇管理簿には、労働者ごとの年次有給休暇の時季や日数の基準日を記載し、年次有給休暇の期間中1年と、満了後3年間の保存をします。労務管理ソフトなどをお使いの場合は年次有給休暇管理簿は、労働者名簿又は賃金台帳と合わせて調整できるようになっている場合も多いかと思います。

違反した場合は罰則も

これまでは、有給を使うかどうかは労働者に任され、休暇を取らなくても構わなかったのですが、2019年4月以降は、年最低5日は労働者に有給を取らせないと労働基準法違反となり、違反の場合には、使用者に6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が発生します(労働基準法第119条)。なんらかの形で法律違反をしていることが発覚した場合、即罰則が与えられるのではなく、労働基準監督署から何度も指導が入り、改善が見られない場合に科される事になるでしょう。

平成31年3月(4月納付分)からの健康保険(協会けんぽ)厚生年金保険料率表

協会けんぽ、厚生年金保険料率表

協会けんぽの料率変更に伴い以下のように変更になります
PDFファイル

神奈川県以外の分はこちらのリンクから協会けんぽのページへいってダウンロードしてください。

神奈川県の協会けんぽ・厚生年金保険料率表

多くの方が訪問されているようなので記載しておきます。今まで毎年9月に厚生年金保険料が上がっていましたが、2017年以降は18.3%で固定されます。(まあ、そのうちまた上がり出すと思いますが・・・・)健康保険は毎年4月に変わります。

厚生労働省報道発表「厚生年金保険料の引き上げが終了します。」

厚生年金の保険料率は、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、今年9月を最後に引上げが終了します。また、以降の厚生年金保険料率は、18.3%で固定されることになります。なお、国民年金の保険料については、既に今年4月に引上げが終了しています

PDFのアイコンをクリックで神奈川県の料率表がダウンロードできます。

平成30年4月(5月納付分)~の健康保険厚生年金保険料率表

PDFファイル

神奈川県以外の分はこちらのリンクから協会けんぽのページへいってダウンロードしてください。
PDFのタイトルは「3月分(4月納付分)~」となっていますが、子育て拠出金の割合が0.29%になっていれば4月分です。
内容は「平成30年3月(4月納付分)~の健康保険厚生年金保険料率表」とかわりありません。

平成30年3月(4月納付分)~の健康保険厚生年金保険料率表

PDFファイル

神奈川県以外はこちらから

協会けんぽのページへ行ってダウンロードしてください

平成29年9月(10月納付分)~の健康保険厚生年金保険料率表

PDFファイル

 

神奈川県以外はこちらのリンクから協会けんぽのページへ行ってダウンロードしてください

平成29年3月(4月納付分)~の健康保険厚生年金保険料率表

 

神奈川県以外はこちらのリンクから協会けんぽのページへ行ってダウンロードしてください

平成28年10月(11月納付分)~の厚生年金保険料率表

平成28年3月(4月納付分)~の健康保険厚生年金保険料率表

平成27年9月(10月納付分)からの健康保険厚生年金保険料率表

雇用保険の対象者

雇用保険は31日以上継続雇用されれば、ほとんどの方が対象になります。

雇用保険とは

「雇用保険」とは、労働者が失業した場合に失業給付を受けたり、生活や雇用の安定を図ったりするとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした保険のことです。事業所の大小とは関係なく、たとえ個人事業主であっても、週の所定労働時間が20時間以上かつ雇用見込日数が31日以上の人を雇った場合には、「雇用保険」に加入する必要があります。また、会社、団体、個人事業主といった業態の別を問わず、雇い主自身も、雇用保険の適用事業所として届出をする必要があります。

「雇用保険」の目的

「雇用保険」とは、失業した時に受け取れる失業等給付、勤めている間に受けられる育児休業給付、介護休業給付、教育訓練給付などの被保険者の生活を守るための保険です。

雇用保険法では、

1.労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合及び労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に、生活及び雇用の安定と就職の促進のために失業等給付を支給する。

2.失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図るためのニ事業を実施する。

と定義しています。

失業者の生活の安定を図る

生計を立てている人が失業してしまった場合に、給与が得られなくなることによる経済的負担から守るため、失業等給付をおこないます。失業期間中にも一定額の給付をすることで、失業者の生活の安定を図ることができます。

失業者の再就職を促す

失業期間中に新しく仕事を見つけようと思っても、就職活動するにもお金はかかりますし、その間の生活費も必要です。そんなとき、一定額の援助があれば安心して就職活動をすることができます。失業期間中に再就職活動をサポートし、早く新しい職に就けるようさせるという目的も雇用保険にはあります。
このように、雇用保険は、失業してしまった労働者を金銭的に保護し再就職を支援することによって、労働者の福祉の増進を図ることを目的としています。

雇用保険の加入条件

失業者の生活の安定のために必要な雇用保険ですが、全ての労働者に加入資格があるわけではありません。

雇用保険に加入するためには、

  1. 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること
  2. 1週間あたり20時間以上働いていること
  3. 学生ではないこと(例外あり)

の3つの条件を満たす必要があります。以下、各条件について詳しくみていきます。

(1)勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること

ここでいう「31日間以上働く見込み」には、31日間以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き、すべてが該当します。

例えば、雇用契約に「更新する場合がある」旨の規定があり31日未満で雇い止めすることが明示されていないときは、「31日間以上働く見込み」があることになります。

また、雇用契約に更新規定がない場合でも、労働者が実際に31日以上雇用された場合、この条件が適用されます。

(2)1週間あたり20時間以上働いていること

これは「所定労働時間」が週20時間以上ということを意味します。

したがって、一時的に週20時間以上働いたことがあったとしても、契約上の所定労働時間が週20時間未満となっている場合は、この要件時間を満たしません。

(3)学生ではないこと(例外あり)

原則として学生は雇用保険に加入できません。

もっとも、卒業見込証明書を有する者であって卒業前に就職し、卒業後も引き続き同一の事業主に勤務することが予定され、一般労働者と同様に勤務し得ると認められる場合は、雇用保険の加入対象者となります。

つまり、学生が企業から内定をもらい、卒業前からその企業で勤務をスタートさせ、引き続き同じ企業で勤務を続けることが明らかである場合には雇用保険加入の対象になるということです。また、通信教育、夜間、定時制の学生も雇用保険加入の対象者となります。当然この場合も上記の(1)と(2)の条件を満たすことが必要です。

以上の(1)〜(3)が雇用保険加入のための条件になります。雇っている労働者が雇用保険加入の対象者になるかどうかは、契約時の所定労働時間や更新規定の有無、実際の勤務期間がどのように定められているかで判断します。

学生の場合は、学生だから一様に加入できないとするのではなく、昼間か夜間か、定時制学校の学生かどうかなどをきちんと確認しなければなりません。

「基本手当」の給付

いわゆる「失業保険」で、失業した際に労働者にお金を給付します。

「雇用継続給付」

労働者が高齢・育児・介護などを理由に失業したり、生活苦に陥ったりしないように設けられており、条件を満たせばお金が給付されます。「高年齢雇用継続給付」「育児休業給付」「介護休業給付」があります。

「就職促進給付」

失業した労働者が次の仕事に就くことを促すために設けられており、条件を満たせばお金が給付されます。「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」「常用就職支度手当」「移転費」「広域求職活動費」「短期訓練受講費」「求職活動関係役務利用費」があります。

「教育訓練給付制度」

中長期的なキャリアを築くための教育訓練を労働者が受講した際に、支払った費用の一部を支給するなどの制度です。

雇用保険二事業

雇用保険には労働者が失業したときや育児休業をとったときなどに支給される失業等給付の他に、失業の予防、雇用機会の増大、労働者の能力開発・向上その他の労働者の福祉の増進等をはかるために雇用保険二事業があります。
雇用保険二事業には、雇用安定事業、能力開発事業があり、その内容は下記の通りです。
①雇用安定事業
・事業主に対する助成金
・中高年齢者等再就職の緊要度が高い求職者に対する再就職支援
・若者や子育て女性に対する就労支援
②能力開発事業
・在職者や離職者に対する訓練
・事業主が行う教育訓練への支援
・ジョブ・カード制度の構築

なお、雇用保険二事業の財源は、事業主の保険料のみを原資としています。

雇用保険料は労働者と事業主で負担

雇用保険料は「労働者」と「事業主」で分け合って負担します。社会保険のうち健康保険、厚生年金の場合には、労働者と事業主で折半ですが、雇用保険の場合は雇用二事業が事業主のみ負担のため事業主負担の方が大きくなっています。

一般の事業における「雇用保険料率」(平成三一年度、令和元年度)
・労働者負担:3/1,000
・事業主負担:6/1,000(雇用二事業分3/1,000)

農林水産・清酒製造の事業における「雇用保険料率」
・労働者負担:4/1,000
・事業主負担:7/1,000(雇用二事業分3/1,000)

建設の事業における「雇用保険料率」
・労働者負担:4/1,000
・事業主負担:8/1,000(雇用二事業分4/1,000)

雇用保険料の計算は、

賃金総額 × 雇用保険料率 = 雇用保険料
※1円未満の端数が発生したら、50銭以下は切り捨て、50銭1厘以上は切り上げます。

雇用契約書を作る

雇用契約書はきちんと作成しましょう

労働基準法により使用者は、採用時に労働時間、賃金、および退職に関する事項などについて書面による明示をしなくてはなりません。そこで、雇用契約書とか労働条件通知書を作成するのですが、中小企業ではこれらの書面がとりかわされていない場合が多く発生しています。いざトラブルになったときこれらの書面が取り交わされてないとどうしようもありません。雇用契約書や労働条件通知書は事業主に不利になるものでは無く事業主を守ることになるのです。まだ取り交わしていない事業主さんは至急作成しましょう。
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働き方改革を考える

中小企業の働き方改革

現状の週40時間労働ですら、やっとの思いで実施している。あるいは実施出来ていない、中小企業の経営者にとって働き方改革は、頭の痛い問題となっています。長時間労働の上限時間規制や有給休暇の取得義務、同一労働同一賃金、中小企業への時間外労働の割増賃金率猶予措置の廃止等々。

中小企業においてなかなか働き方改革が進まない理由は、「人員に余裕がない」「やりかたが分からない」「効果が分からない」などとなっています。
中小企業では、長時間労働は当たり前、納期に間に合わせるための残業は日常茶飯事、有休を取られたら仕事が回らない、といった会社も多数存在しています。つまり、適切な労務管理に取り組む余裕がなく、ノウハウも持ち合わせていないのです。

何をやったらいいかわからない中小企業の皆さん、「就業規則はきちんと機能していますか」就業規則をきちんと見直して、現在の法律にあったものにするだけで働き方の変化は十分に期待出来ます。それを運用していく上で、自分の会社ではどこができてどこができないのかを見極め、少しずつでも理想に近づけていく。そんな取り組み方もあります。
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中小事業主のための労災保険(第1種特別加入)

中小事業主労災保険(第1種特別加入)

特別加入の要件(中小事業主)

①その事業について、労災保険に係る保険関係が成立していること。
②労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること。
③中小事業主及びその事業の従事者を包括して特別加入すること。
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労働基準法、労働協約と就業規則などの関係

労働法を理解するためには法律同士の関係を理解しなくてはなりません。労働関係の基本の法律である労働基準法そこから派生して労災保険法、雇用保険法、安全衛生法などの法律があります。そして、企業独自に定めているものとして、労働組合と話し合いで決める「労働協約」会社で働く人を包括して定める「就業規則」個別の労働条件を定める「雇用契約」などが有ります。ここではそれらの関係性について理解します。
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